07.17
Mon
 今年もちょうど今日まで、プリンスアイスワールド東京公演がダイドードリンコアイスアリーナで行われているかと思う。私が初めて生で羽生くんを見たのは、五年前、同じ場所での7月15日公演(昼の部)であった。その春にニースロミオで羽生くんに決定的に墜ちた私は「羽生くんが17歳のうちに一度は生で観ておきたい!」というわけのわからない衝動を起こし、それでアイスショーの予定を調べてチケットを取ったのだった。前にもちょっと書いたが、その時の私は、その数年前から云ってみれば人生最悪のぐだぐだ期に入っており「泊まりがけでどこか出かけるような気力なんてないわ」という状態がずっと続いていたのだが「羽生くんを生で観たい」という衝動がその状態のいわば突破口になってくれたのだった。運良く、その当時、やっぱり羽生くんが好きで「一緒に行ってもいいよ」という昔からの友人が東京に住んでいたので、泊めてもらって一緒に行くことにして、本当に何年ぶりかの外泊つき外出をこなすことができたのだった。羽生くんを知った頃は、最悪のぐだぐだ状態からのごくごくゆるやかな回復期にあったのだが、ファンになってから、その回復基調がはっきりして今に至ると思う。ありがとう羽生くん。

 初めての生羽生くんは、キラッキラしていた。
 演目が「Hello, I love you」だったので、銀色のジャケットが文字通りキラキラしていたというのもあるんだけれど、もちろんそれだけじゃなくて、存在感そのものがキラッキラしていた。もう五年前のことだし、生で観るとテンション上がりすぎで記憶が飛ぶ私だし、このときは初めてでテンションの上がりっぷりも多分半端じゃなかったということもあって本当に断片的な印象しか残っていないのだが、ジャンプは、生で観るとテレビより一層、シャープでしゅるるっ、と銀の火花が飛ぶようなイメージだったのを何となく覚えている。たしか3Aが目の前だったし。
 このときの羽生くんは、まだ目立つ実績が「世界選手権三位」しかなかったこともあって、プログラム順は「一部のトリ」だった。もちろん羽生くんをとにかく観たくて行ったのだけれど、フィギュアスケートそのものも生では初めてということもあって、他の出演者の方々やプリンスアイスワールドチームの演技もわくわく楽しめた。当時はまだ八木沼純子さんや太田由希奈さんも出ていた。プルシェンコ様や高橋くんという、男子シングル界でそれまでずっと私を楽しませてくれてきたメンツも同じ機会に一緒に観られてとても嬉しかった。
 しかし羽生くんが演技と別の面で圧巻だったのは、終演後の「ふれあいタイム」の時だった。プリンスアイスワールド名物、ふれあいタイム。出演者が場内を回って、観客と直接会話したりプレゼントをもらったりという時間。で、高橋くんの出演発表が公演日直前だったこともあってか、どうやらこの東京公演は、羽生くん目当ての観客がとても多かったようで。ふれあいタイムでの羽生くんの進み方が遅いこと遅いこと。私の席は周回の最後のあたりだったのだが、確か羽生くんが近くに来るまで一時間くらい待ったと思う。それだけ羽生くんは、たくさんの人から呼び止められたり写真を撮られたりプレゼントをもらったりしていたのだった。羽生くんはプレゼントを受け取り、持ちきれないほどたまるとスタッフさんが持ってきた籠にそれを移し、また受けとって、またたまると籠に移し、とそれを何度となくやっていた。友人と「あれだけで結構疲れるよね」と話しながら見ていた。しかも羽生くんはわりといちいち丁寧に、観客からのポーズ要求などに応えていたので余計に時間がかかるみたいだった。私はエキサイティングシートは残念ながら取れていなかったので、直接ふれあうことはできないな、と思ってちょっと後方からふれあいタイムの様子を眺めていた。ふれあうことはできなくても、比較的近くから羽生くんを見ることができたし、ブレブレだったけれどちょっとだけ写真も撮れたので嬉しかった。
 ただ、後から、エキサイティングシート以外でもその気になればふれあいに加わることも可能だったようなということを知ってちょっともやもやした。そのへん、特に案内もなかったし、ネット上某所でもそのあたりがわかりにくかったという声を目にした。
 とはいえ、さらに後から、結果的に無理にふれあいに入り込まなくてよかったな、と思うことになった。というのは、やはりネット上某所で、おそらくふれあいタイムに間近で参加した方々からだと思うのだが「羽生くんがふれあいタイムで疲れすぎててかわいそうだった」という声が続々あがっていたのだった。もちろん、節度を持って臨んだ方も多いと思うが、写真を撮るためにいろいろとポーズを要求したりたくさん話しかけたりしてひきとめていたような方々もいたようである。確かに「出演者を引き留めての写真撮影はおやめください」というようなアナウンスは繰り返しかかっていた。でも羽生くんは性格上、求められたら断り切れない、かわしきれないみたいなところがあるのだと思う。それで私は、私がふれあいに入り込まなかったことで、羽生くんの負担を何千分の一かでも減らすことができたのなら、それはそれでよかったのだと思うことにした。そして私は自分が将来、ふれあいに参加する機会を得ても、手短に感謝を述べるだけにとどめる、プレゼントは軽くて負担のないものにする、と心に誓ったのだった。まあ性格上、多分あがってしまって、たくさん話したりポーズを要求したりとかそもそもできそうもないけれど。
 しかし結局、羽生くんがプリンスアイスワールドに出たのはこの後は、2014年の八戸公演に一度だけではなかったか。私はそれには行けなかったし、私の「もしふれあいに参加する機会があっても羽生くんに負担をかけない」という誓いはどうやら無駄になりそうである。もう今の羽生くんがふれあいタイムに登場したら、それこそ死人が出そうである。たとえば町田くんみたいにあらかじめ「プレゼント等お断り」などを徹底しておくとかでないと、たいへんなことになるだろう。

*******

 羽織袴姿の羽生くんが載った仙台市のポスターが美しい。「たたずまい」という言葉が似合ってしまう22歳男子。政令市には配られるということらしいが福岡市で貼り出されるとすればどこだろうか。情報が手に入って、見に行けるようだったら見に行きたいものである。
 羽生くんがはいているのが「仙台平の袴」とのこと。「せんだいひらのはかま」という言葉には耳なじみがある。羽生くんとはまったく関係のない話だが。私の母方の祖父母と叔母(母の妹)の一人は、第二次大戦で空襲に巻き込まれて東京で亡くなったのだが、その祖父は仙台の出身で、遺品の中に仙台平の袴があったそうである。そして戦後、私の伯母(母の姉)が病気になったとき治療費を捻出するためにその袴を手放したそうだ。でもそれで伯母の助けになるならば、死んだ祖父も喜んでいるだろうと、その母、つまり私にとっての曾祖母は話したそうである。ちなみにその曾祖母は羽生くんの出身地である七北田に里子に出されていた経験があり、私の初仙台行きは、その曾祖母の葬式であった。ただし二歳の時なので何も覚えていないのだが。まあとにかく、私は呉服関係のことは全くわからないのだが、そういうわけで「仙台平の袴」というのはいいものなのだということを漠然と知っていた。それで羽生くんのポスター画像を目にして「これが仙台平の袴」と改めて認識したりしたわけなのだった。

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コメント
えのき様 こんにちは。
プリンスアイスワールドの『ふれあいタイム』(@_@)
羽生結弦選手…丁寧な対応で一時間…ちょっと切なくなる話です。
えのき様の後からの感想も……私もたとえ機会があっても…と思います。こう見えて⇦見えてない(^_^)ゞ妙な気を遣うタイプなので……
相手の好みが判らないと贈り物選びは疲れるし……憧れの方の大切な時間を自分ごときに使わせてしまうのは心苦しい……

故に…コネクト(・_・;)に戸惑うのです。
私は遙か遠くから…お姿を拝見出来れば………などと言いつつ…羽生君がリンクで起こす風を最前列で感じてみたい……という願望も^_^;
矛盾を抱えて……頭の中がぐちゃぐちゃ(*⌒▽⌒*)

羽生君の羽織袴姿にも…確かにたたずまい…美しい……
けど、すこし小顔過ぎて……とケチを付けてしまう私…またもや自らにアンチ疑惑を抱き……モヤモヤ(・_・;)
ハリネズミ | 2017.07.18 11:23 | 編集
ハリネズミさま
私もその当時、羽生くんのたいへんさを思ってたいへん切なくなりました。世界選手権三位でブレークしたことが、そんなハードなふれあいタイムにつながるとは、本人も主催者もあんまり思ってなかったかもしれません。
プレゼントは確かに難しいですよね。本人の好みが詳しく分かるわけでもないし、選ぶセンスに自信があるわけでもないし、プレゼント自体がこちらの自己満足だよな……とか私も考えてしまう方です(^^。

コネクトにとまどう、小顔すぎると思ってしまう、そういう矛盾を抱えるのも、ファン心理の味わい方?の一つかな、なんて僭越ながら思いました。私も、100%ほめほめの人ではないです。以前「顔の造作だけ見ればとりたてて云うほど美型じゃないと思う」的なことも書きましたし(笑)。「導きの光」にはモヤっとしましたし。

何かで「時代物の役者さんは顔がある程度大きい方がいい」といった話を読んだ記憶があります。そういう、正統派和装映えという観点から云うと、羽生くんの顔は確かに小さすぎるかも、です。
えのき | 2017.07.18 22:25 | 編集
ニースロミオからのえのきさんは超キャリアファンでらっしゃいますね。あれは若さ、技術、迫力、全て含めてロミオらしい羽生ロミオ。私も録画で何度も見てます。中国の事故以後の私はそこですぐ行動に移せば良かったのです。アレヨアレヨと言う間に切符も取れない状態にー。触れ合いでお邪魔どころか遠くから見守る画面ファンです。気持ちが届くとよいですが、届いてる方が余りに多いので、怖気付いてこの気持ちを受け止めてくれるえのきさんのブログに時々ボソボソ投稿し始めました。いずれ目の前でシャーとジャンプする羽生くん見たいなー。(先日遠方から完璧パラ1を生で見ました。あれ以上あるかも知れませんが、何度録画を見ても欠点が見つからない程です)やはり好きだなぁ。
ルピナス | 2017.07.19 18:56 | 編集
ルピナスさま
超キャリアファン(^^;。いやいや、ファンになった当時は「シニアデヴューした昨シーズンから存在は知っていたのに、どうしてこの魅力に気づかなかったんだ!」と思ったものです。ジュニアから知っててファンだった人はすごいなあ、とか。でもまあ今は、どの時点でファンになるか、っていうのはもう運とタイミングだけのことかなあと思っています。どのくらいの距離や頻度で応援するかも個々の事情や性格やなんか次第ですしね。私のこのブログがファン生活の足しに少しでもなれているのであれば幸いです。
それにしても、本当にチケット運は狭き門になってしまいましたが、ルピナスさまもいつか目の前で羽生くんが観られることをお祈りいたします。
えのき | 2017.07.19 22:35 | 編集
あまり人の身体的な事を話すのははばかりますが、親から授かったものでどうしようもないので。ただ気楽な話題でもあるので少々。私の世代だと時代劇や舞台だと顔が大きい方が役者さんとして良かった覚えがあります。何しろ表情がハッキリ見えるのです。今も集合写真の時は小顔の方が表情が多少見え難いです。それに着物は八頭身でないほうがカッコ良かったのです。女性も小さい方が良かったし。今はかなり逆になりましたが、当時ちょっと苦労した人もいたのです。バレエやフィギュアスケートでは羽生さんのような身体つきの人はぴったりですね。太腿は最近強化の為に付けた当然のものですよね。それに彼は先に述べた事とは違いますが、日本的な表情も西欧的な表現も両手使いで出来ちゃう珍しい人ですね。平安時代の貴族の顔とロミオやオペラ座の怪人。女性かと思うと男性。大人の理性と思うと子供っぽかったり、真逆なものにその場に合わせて塗り替えていく、まるでカメレオン(失礼)みたいです。だから出だしの話に戻せば 両方の、というか色々な価値観を尽きる事なく楽しませてくれている気がします。
ルピナス | 2017.07.20 23:37 | 編集
ルピナスさま
どんな身体的条件がよしとされるかは、時代や状況によって変わるというのが面白いところですよね。現代の洋服を基準にしたファッションだとよしとされる小顔が、時代劇や舞台という文脈に乗ると見栄えが今ひとつ、ということになってしまう。羽生くんはフィギュアスケーターで本当によかったですね。フィギュアスケーターとしての見栄えという点で云えばこの上ない体型に生まれついて、きっと羽生くんもご両親、自分の遺伝子に感謝しているのではないでしょうか。
西洋発祥の競技であるフィギュアスケートに優れた、でもその中に東洋的表現も持ち込める羽生くんは本当に面白い存在だと思っています。おっしゃるように、西洋と東洋、男性と女性、大人と子ども、など、羽生くんにはさまざまな両極的要素があって、それが独特かつ複雑な魅力につながっていると思います。この「さまざまな両極的要素」についてはそのうち記事にしたいとずっと思っているのですが、まだ頭の中で整理中です(^^;。
えのき | 2017.07.21 20:37 | 編集
全く同感です。是非いずれその記事読ませて頂きたいです。。
ルピナス | 2017.07.21 22:12 | 編集
ルピナスさま
いつになるかわかりませんが、がんばってみます(^^。
えのき | 2017.07.22 11:31 | 編集
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